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2026.04.23_Thu.

明日からまたNさんが搬出のために上京して、うちに3泊するから、朝ごはんの後でシーツを洗い、

掃除機をかけた。

 

それから、パソコンに向かい、写真の仕上げの続き。

 

ずっと前から、読むとスッとすることを鉛筆で手書きしたちいさなメモを、

仕事部屋のモニターに貼っている。

3枚あって、その中の1枚に目が留まる。

 

「わかってるけどやめられない

いつもできるのにできない

なにか気もちがわるい」

 

今日もそれを読んでスッとする。

そういうのが、人間だと思う。

 

武道を長く続けた人でも、人にきちんとすることを求めたり、人を正そうとする。

扱い易いこどもを可愛がる。

 

そういうことに、がっかりする。

技に長けた人は、人としてもあらゆるところに長けているのではないかと、つい期待してしまうから。

 

武道を続けるなら、それを許せる人になりたい。だけど、自分もまだ出来ない。

 

昼は家にひとりだったから、なにも食べたくなかったけど、お腹が減るからバナナを齧った。

 

14:00から道場でAさんと稽古。

珈琲を淹れて、チョコレートをたべた。

『諱(いみな)』の話、Photoshopの話。脳の研究(レントゲン)の話をした。

さぁ、着替えようか、となった時、Aが「やばい。」と言った。

なんだろうと思ったら、てっきり道着を道場に置いてると思って持ってこなかったら、

なかったらしい。

仕方がないから、「どのくらいのサイズを着てるの?着れるか着てみて。」と言って、

自分の道着を渡した。小さいけど、今日のところはどうにかなるかも知れない。

雨の中、家にあるもう一着の道着を取りに帰った。

 

合気道の稽古をする。

この間の『天地投げ』のことが頭にあって、それに繋がる稽古をした。

 

『片手取りからの呼吸投げ。』

入り身するやり方と、転換するやり方。

ひとつひとつ腰の動き、身体の向き、腕の伸び方をゆーっくりの速度にして、確認していった。

『片手取りからの入り身投げ』

これも同じこと。握られた手を臂力の養成の動きで上段まで上げる、切る、

自分の身体の向きは変えずに肩に相手の頭をつける。送り足で僅かに下がる。

肩に頭をつけたまま腰回転、投げる前に腕を伸ばす。いい姿勢になる。

身体ごと送り足で一歩前に出る。

『正面打ちからの一教』

表・・腰の位置を確認する。斬り下ろす手と、肘にある手で、ただ押すのではなく、

僅かにうねらせる。

裏・・後ろ足で入って、90°転換。足は動かさず腰回転。

もうひとつのやり方は、相手の動きに逆らわずに入りながら流す。

『回転投げ』

握られた手を上段まで上げ、切るほうの手は当て身するように自分の顔を守る。

腰回転しながら、手を入れ替え、ひとつは相手の首へ。ひとつは矢筈の手で手首へ。

『天地投げ(表)』

腰の向き。天の手は臂力の養成の動き。上げながら肘を若干内に入れる。地の手の位置。

 

太刀を持って、『受け流し』の練習。

oneで真っ直ぐ下まで頭を斬る→twoで相手を向きながら下段に構える→oneで受け流し→twoで斜め45°に下がる。

丸く円を描いて動いても、45°で下がれるように。

太刀を下段に持つ時、中柄が自分の正中線にあるように。

 

杖道。型の稽古。

『太刀落とし』

逆手で打つときは相手の太刀に当てたままだけど押さない。寸止めする。

『鍔割』

これも鍔に当たるとき、寸止め。

突きの練習。

突いた後、力を抜く。左足を右へ逃す。

繰り付けの練習。頭の上に担いだ時、杖先は下がる。目つけるときに上がる。

繰りつけたとき、右手は内腿にある。

『着き杖』

九州のやり方になって、難しくなった。しっかり線を外す。足の練習。

『引っ提げ』と『霞』

"体当たり"の練習。当たっているか、押してしまっているか。

"繰り付け"の練習。足は横に出す。

最終的に、足の位置を守るより、中柄に杖を当てることを意識すれば良くなった。

杖を担いだ時、杖先は下。目つけるときに上。

"引き落とし打ち"の練習。

杖が先、身体は後。

『右貫』

水月を突く。その後でしゃがむ。なんか僅かなそこの感触のこと。

 

(その後のこどもクラスのため)こどもが来始めたから稽古を終える。

 

今日はこどもクラスまでダラダラと付き合わずに帰ることにした。

 

自分のため。

2026.04.22_Wed.

このところ稽古が続いていたから、毎日まだ身体に入っていないことを

身体に覚え込ませるような毎日で、

今日は久しぶりに身体がもう覚えきっていることだけで一日を過ごせた。

会う人も柔らかくて、力が抜けた。

布団に潜ってじっとしていたいくらいに疲れている。

 

でも、帰宅してスペアリブを野菜と一緒に煮込む。こんな疲れに負けるのは嫌だ。

硬いだろうスペアリブを柔らかくできたら今日の一日が、勝ちのような気がする。

 

夜、Dさんが「がんば!!」と書いて、

ましまろの『ガランとしてる』という歌をメッセージに貼り付けて送ってきてくれた。

 

寝転がって、心臓の上に携帯電話をのせて聴いた。ありがたい。

 

……

 

『ましまろ/ガランとしてる』

 

百合だって 薔薇だって その瞳は 透き通ってはさざめく波もよう

近づいて 遠のいて 逃げだしてく

色づく鬼灯より音も立てずに

いつもはやわらかい夕暮れ時が かたまり ひびわれて ぶつかる ぶつかる

何もない 何もない ようなふり

何もない 何もない ようなふりして

いつもはやわらかい夕暮れ時が かたまり ひびわれて ぶつかる ぶつかる

何もない 何もない ようなふり

何もない 何もない ようなふりして

夏光り ひたひたと こぼれ落ちる

カーテンあけっぱなしの不在証明

……

2026.04.21_Tue.

8:30に道場に着くと、もうTの布団は綺麗に片付けられていて、スウェーデンに発った後だった。

Aと合気道の稽古をする。

横面打ちから、呼吸法、一教、二教、三教、四方投げ、小手返し、入り身投げ。

 

はじめて教わったことは、横面打ちを打たれた瞬間に相手の腹に自分の背で入り、腰回転、

そこから呼吸投げに入る。相手の手首に当たる自分の手は握らない。斬ること。

当て身をするように自分を守りながら入れば、首投げにも自然に入れる。

投げたとき、しゃくらない。ただ素直に投げるだけ。

 

天地投げも面白かった。いつものように地の手を相手の背後に崩さなくて、

自分の後ろに引いても、相手の体勢を崩すことが出来たこと。

 

最後は座技呼吸法。下の手を丸く返し、隅落としをするように斬ること。

そのちょっとした動き。それもとても面白かった。

 

合気道の稽古がちょうど終わる頃に、スペイン人のMさんもやって来て、

今日は杖ではなく、木剣を持った。

八相からの打ち込み。逆八相からの打ち込み。巻き落とし。

 

そして剣術の稽古をした。

すごく久しぶりだったから、前にせっかく覚えた『相摺』から『摺り込み』までの剣術の型を

すっかり忘れていた。

 

忘れていながら、その型の中には合気道の動きも、杖道で練習している動きも入っていることを

とてもよく感じた。

 

心技体というけれど、心を丈夫にするのが一番難しく思う。

素直になると、気付かないうちに、つい脆くなる。

 

今日はそれを守らないといけなかった。目の前のことだけを丁寧に。

あまり他が入ってこないように。

 

なぜ脆くなるのか。

 

人の気持ちは、もう少し丁寧に扱われるものだと思っている、からだと思う。

 

"受け返し"の練習をして、頭がいっぱいになった時に、稽古が終わった。

今日はよく頑張った。

 

帰宅して、Yに弱音を吐くと、

「人を信じすぎるんだよ。」と言う。

 

束の間横になって、お腹に乗ってきた猫を撫でた。

Tさんに請求書をお送りして、Kさんの写真の仕上げに取り掛かる。

2026.04.20_Mon.

朝、起き抜けに布団の中で携帯電話を見たら、

トム・クルーズのリール動画が真っ先に流れてきた。

流れてくるままに読んで、(トム・クルーズ、ありがとう…)と思う。

……

 

「怖い」自分を心配しなくていいんです

And don’t be so worried if you’re afraid.

 

「なるほど、怖いと感じるね」

It’s like, “Okay, I feel it.”

 

「それでよいよ」

That’s fine.

 

そうやって進めていくんです

Just keep working through it.

 

本当にあなたが感じてる「恐れ」は、「未知」です。

Really, the fear you feel is the unknown.

 

あなたがまだ「知らないこと」です。

It’s what you don’t know.

 

それを認めるんです。

Just kind of recognize that.

 

知らなくてもいいんだと。

That it’s okay not to know,

 

そして、「知っている」状態の方向に進むんです。

and work toward a knowingness of things.

 

そしてそれをできる唯一の方法は、

And the only way to do it

 

頭の中で考えるのではなく、

is not to be in your head on it,

 

見て、外に出て、それをやり始めるんです。

but just to start looking, go out and start doing it

 

一歩ずつ。

one step at a time.

 

私が他の人や自分をトレーニングする時は、

When I’m training people or I’m training myself,

 

いつもこう考えてます。

I’m always thinking:

 

「まず歩く前に這って進む方法を学ぼう」

“I’m gonna learn how to crawl before I walk.”

 

「ゆっくり走る前に歩こう」

“Walk before I jog.”

 

「速く走る前にゆっくり走ろう」

“Jog before I run.”

 

「疾走する前に速く走ろう」

“Run before I sprint.”

 

そして飛行機や崖から走って飛び降りるんですよ

And then I sprint out of a plane or off a cliff.

 

……

まだ昼ごはんの時に、目の前にいる3人の話す英語が分からなかったことが、ふとした時に思い出されて、そのたびに内臓がギューっと締まる。

仕方のないこと。努力しても、すぐにどうにかできることでもない。

 

「なるほど。傷ついているね。」

「それでいいよ。」

 

だ。

 

今日はTと稽古できる最後の日。

9:00にAと道場で約束している。

 

スペイン人のMさんもやってきて、練習をはじめる。

 

上段から逆手打ちを20回ずつ。みんな一回ずつ打ち太刀をするまで。

引き落とし打ちも20回ずつ。最初の10回は後ろ足を残す。次の10回は足を揃える。

 

Mさんを打ち太刀に、"表"の型を『太刀落とし』から『細道』まで。

 

Aに言われたこと。

『鍔割』のとき。

構えたときの上の手のこと。肘をもっと後方へ。杖の影に隠す。

 

『着き杖』のとき。

帯の高さまで、自分の腰に拳が当たるまで杖を引くこと。

小手だけじゃなく水月まで届くように打つこと。

前足を浮かして踏みすぎない。沈むくらい。

 

『霞』のとき。

ひとつひとつを確認しながらやること。急ぐよりも、いまはその方が大事。

 

『笠の下』のとき。

相手が斬ってくるタイミングで相手を見ながら後ろに回る。

 

『細道』のとき。

体外しは相手が斬ってくるギリギリまで待つこと。

 

昼は今日も皆でサミットへ行った。

昼ごはんを食べてMさんは帰って行った。

 

わたしたち3人は今日もシエスタをした。

Tは大きなソファをわたしに譲ってくれて、自分は座布団を枕に畳に寝転がった。

 

午後からも3人で杖道の稽古。

 

特殊技の3本

『水月』『斜面』『打ち落とし』の仕太刀と打ち太刀。

制定型の『着き杖』から『霞』までの打ち太刀。

 

Aが打ち太刀で、Tが"中段"、私が"表"を交互に。

 

AとTが『五本の乱れ』をするのを見ていた。

ふたりにはこれが出来る。身体の中に入っている。人間というのは、どれ程のことを身体の中に貯められるのだろう。

ひとつずつ重ねていけば、いつか自分の身体にも入っていくのだろうか。

とても生きられる時間が短く思える。

 

その後で制定型の『着き杖』から『霞』までと、特殊技の『打ち落とし』の仕太刀をもう一度練習した。

 

稽古を終え、Aが館長とTとわたしの身体を診てくれた。腰と首が固くなってるのを楽にしてくれた。

 

夜はTとAと、Tのスウェーデンの友だち(アナ、オリオン、ヨリゲン)と、新宿ですき焼きを食べた。

Tのスウェーデンの友だちは全く日本語が話せない。

状況を想像した。またひとりで分からない言葉を前に黙り続ける状況を想像した。

だけど、自分が想像した状況にはならなかった。

毎日続けたduolingoとLooraと、すき焼きとお箸と、杖道と、ポラロイドで撮った写真と、自分のこれまでの毎日が、今日自分を助けてくれた。

怖がらずにほんの少しの英語で、今日はじめて会う人と、たくさんの話をした。

 

ひとつだけ、ここに書いて残したくないこともある。

新宿に向かう道すがら、AとTに

"bully(ブリー/いじわる)という英語を教わった。

お返しに、"きつねにつままれる"という日本語と、

"桃"と"腿"の発音の違いを教えてあげた。

皆で食事しながら、

"appeared (アピアード/魔法のように現れる)"

という英語と、

 

"Tack för maten(タクフォワモータン/ご馳走さま)"

"kul(キュール/Tはうれしい、と教えてくれたけど、たのしい、かも。)"

というスウェーデン語を教わった。

 

明日スウェーデンへ発つTと、「また来年の春にね。」とさようならした。

 

自分は結構強いと思った。

2026.04.19_Sun.

Aと道場に8:00の約束。

6:58に「着いたよ。」とメッセージが入る。

起きてるけどまだお布団の中だよ。

これから朝ごはんだと言うから、自分のペースで支度して、バナナだけ齧って、

8:00少し前に道場につく。

珈琲を淹れる。道場で珈琲をうまく淹れられない。

ここのところ2回続けて失敗して、薄い薄い珈琲を「また失敗した。」と言いながら飲んでいた。

家だとそんなことにならないのに。

 

「今日はうまく淹れる。」

丁寧に淹れてみたけど、この間よりはマシな、だけどやっぱりいつもと違う珈琲になる。

スランプか。

 

そんなことをしていたら、道場に泊まっているTも起きてきた。

起きたばかりで、まだ声が出ていない。

 

着替えてAと少しだけ合気道をした。

天地投げ。

「昨日I先生がこうしていたよ。」

入り身して、相手と同じ方を向く。腰回転。

ひとつひとつ確認するように、ゆっくり稽古をしていった。

 

Tと杖道の稽古。

Aが「相対動作の打ち太刀をやって。」と言い、太刀を持つ。

動きの練習。掛け声の練習。

「はじめー、と言いながら太刀を振らないで。」

と、Aが面白そうに笑っている。

「はじめ」と言い終わってから、太刀を振る。

 

皆が来て、各自ストレッチを念入りに。

臂力の養成、斬り下ろし、振りかぶり。

Tと二ヶ条と三ヶ条のルーティンをひとつずつ。

自由技。

 

休憩を挟み、杖道の稽古。

打ち込みを20回ずつ。上段に構えて右と左。

本手打ち、逆手打ち、引き落とし打ち。

"表"の型の練習。

 

Aに言われたこと。

▪︎"右貫"の水月を突くときのこと。

相手が斬ってくるタイミングで突く。上に突き上げすぎない。すぐに相手の太刀を落とす。

▪︎"笠の下"で相手の水月に入るときのこと。

一瞬の中のことだけど、まずは突く。それから腕を伸ばす。それを一瞬の中でする。

 

Tに言われたこと。

▪︎"右貫"の逆手打ちで相手の腕を打つときのこと。

まっすぐ打つんじゃない。右袈裟で打って、相手の左のこめかみを狙う。

▪︎"細道"の最後の本手打は、相手の目の前まで。

 

稽古が終わり、皆はお弁当を食べるとなったけど、なんとなく、今日はもう帰ろうと思った。

 

なんか自分でも分からないけど、「感じて、呼吸して。」の気分だ。

2026.04.18_Sat.

4:30起床。

もう頑張れなくて、昨日着てそのまま寝た服のままで、靴下だけ履き替えて、家を出た。

本部道場で7:00からI師範の稽古を1時間。

身体がとても疲れているのに、いつもより自分の身体がよく動く。

そしてやっぱりこの先生に教わるのが好きだと思う。

 

▪︎準備体操 ▪︎後ろ受身10回

▪︎入身転換

「転換したあと、後ろに力をのせてはいけない。体重は前の方。相手の手に自分の力がのるように、

そこにガチーッとはまれば、そのまま後ろ足からトントンと数歩、前に歩いてみて。

はまっていれば相手がついてくるから。」

▪︎諸手取り呼吸法

▪︎諸手取り一教(表)

「諸手取り呼吸法と同じように手を上げる。そのままその手の形を変えない。

自分の身体の前からその両手をずらさない。そのまま腰だけ回転する。

そうしたら相手の肘が出てくる。前足を前に出す、後ろ足を添わせる。

その後は、後ろ足前足をトントンと前に出す。」

▪︎正面打ち一教(表、裏)

▪︎正面打ち四教(表、裏)

「一教と同じ。斬り落とす。自分の身体の正面で相手の腕を縦にする。

これは三教でも四教でも取りやすい。裏の時は前足を引く。」

「抑える時、肩の方に力を向ければ、ただ肩だけが抑えられて痛いだけなんだ。外へ力を向ける。

そうしたら効くんだ。あんまりやると痛いから嫌われるよ。」

▪︎両手取り天地投げ(表)

「逆半身。前足で入り身、腰回転で相手と同じ向きになりながら、天の手は内側から呼吸法の動き、

地の手は下へ、両の手が分かれる。そのままもう一度腰回転すると相手が崩れていく。

後ろ足が前に入る。」

▪︎座技呼吸法

 

稽古が終わり、礼をした後で、「お辞儀をするこの手も、呼吸法と同じ手なんだ。」

I師範はそう言って、畳に両手をついた。腕の曲線がすごく綺麗だった。

「上からぐーっと押されても崩れない。こういうことでも意識すれば稽古に繋がる。」

 

やっぱり好きだなぁ、この人。

 

着替えて道場の玄関を出るとき、I師範と同じになった。

靴箱に入りきらない靴を置くために新聞が敷かれていて、その新聞を読んでいた。

「先生、ありがとうございました。」と挨拶をして表へ出た。

「これからあとふたつ稽古なんだよ。」

「品川ですか?」「そう。品川と横浜のほう。」

そう言ってI師範は黒い上下の服を着て、自転車に跨った。

 

わたしは今日もいつものホステルのカフェに寄り、珈琲一杯分の時間、英語を聴いていた。

でも今日は、昨日の(目の前の人の英語が)分からない悲しみがまだ胸にあって、音が聴こえるくらいにしか、何も耳に入ってこなかった。

 

帰宅して、もう目が開けていられないけど、明日着る分の道着がないから、それだけ洗濯して、干して、ベッドに横になる。

 

夜、神戸のMからゆうパックが届く。

『くんじくんのぞう』でNさんが作った、くんじくんの模型だ!

Yにはカセットテープ。

 

箱の中を覗きこんで、K(11才)がにっこにこしている。

仕事部屋のPCを貸してあげた。

Kがキーボードを打ち、お礼のメールを書いている。

2026.04.17_Fri.

朝の8:30から夜の8:00までAとTと稽古をした日。

 

1月から日本に住みはじめたと、イタリアのマーコスさんも途中で来て、一緒に杖道の稽古をした。

 

打ち込みをして、型の練習。

 

昼は皆でサミットまで歩いてお弁当を買って、道場で食べた。

Aが話す英語の言葉が分からない。3人が話す英語の言葉が分からない。

「なんて話したの?」と聞けるのはよっぽどの時。

それを何度も繰り返すと、話の腰を折り続けることになる。

音にしか聞こえない英語を黙って聞いていた。

身体の中に、どうしても悲しみが広がる。

悲しみだろうか。それもよく分からない。

ただ、目の前の人の言葉を知れないことが。自分の身体の中から言葉を出せないことが苦しかった。

マーコスさんが帰り、AとTが「シエスタしよう。」と言って、ソファで3人で昼寝した。

ふたりが大きなソファで横になるから、小さなソファで丸まって眠った。

Tがジャケットを掛けてくれた。

 

館長が来て、「稽古してるんじゃないのか。」と言うから、ごそごそと起き出して、

温かい緑茶を淹れた。

皆の前で淹れると急かされるから、台所で丁寧に淹れてから、皆のところに持っていった。

Aが、「おいしい。本当においしい。」と言ってくれた。

 

Tと相対動作。

太刀を持ったとき、Aに「声も出して。言ってあげるから、それを繰り返して。」と言われ、

「本手に構え。」「本手打ち用意。」「はじめ。」

「やめ。」「元へ。」「位置交代。」

ひと通りが終わったとき、館長が「1時間かかったな。」と言った。

 

その後は、型の練習をずーっと。

 

夕方になり、館長のこどもクラスがはじまる。

今日は館長は見学されて、Aが教える。

Tとわたしも参加して、少しだけAのことを手伝う。

 

こどもクラスが終わる頃、イタリアから、免許皆伝のロレンツォさんと、マリア・ローザさんが道場にいらっしゃった。

 

こどもクラスの後で少しの時間、稽古すると聞いていた。

短い時間なら、Aがすべての時間を自分の稽古のために使えばいいと思った。

「見てるよ。見学する。」

そういうとAは「参加して。」と言い、Tと一緒に稽古に加わった。

 

後になってAに、「Aが全部の時間を使えばいいと思ってたんだ。」と話すと、

「少しでも体験しておいたらいいんだ。だから参加してよかったんだ。」と言ってくれた。

 

ロレンツォさんとマリア・ローザさんを打ち太刀に、AとTとわたしは杖を持って、みっちり1時間半、型の稽古をした。

ロレンツォさんがわたしに伝えようとしてくれたこと。

"繰りつけ"の時に杖を簡単に下させてくれなかった。

格好だけじゃなく、その力が効いていないことを、流さずに示してくれた。

出来ないでいると、ロレンツォさんは、前の手の握り方を直してくれた。

きゅっとほんの少し握り方が変わると、相手の顔がよく見えた。

そして繰りつける時の力の向き。自分の前ではなく、力を相手の身体の方へ向ける。

 

そして"右貫"のヘリコプターの動きの後。手をクロスしてくっつけろ。これはAにも言われてたこと。

 

マリア・ローザさんと"鍔割"をやったときも、杖をうまく下ろせなかった。

「(手だけじゃなく)身体ごと動かすんだ。」と言うことを英語で言ってくれた。

 

最後にひとりずつ、自分がやりたい型をひとつ皆の前に出て、練習した。

マリア・ローザさんを打ち太刀に、"右貫"をやることにした。

 

最近はAに九州のスタイルでそれを習っていた。ある箇所で九州のスタイルでは"小手"を打つ。

でも、そのスタイルでなければ、その箇所では"こめかみ"を打つ。

マリア・ローザさんに「こめかみだ。」とさっき注意されていた。

だからどっちをするか迷いながら、"こめかみ"を打った。

 

Aだったら、こういう時、どうしただろう。

その場では、自分のやり方を変え、相手に従っただろうか。

それとも、自分はいまこのスタイルで練習している、と話し合うことを選んだだろうか。

 

朝からの長い稽古を終え、館長が行きつけのお寿司屋さんに連れてくれた。

 

家に帰り、もう服も脱げず、歯も磨けず、顔も洗えなかった。

2026.04.16_Thu.

朝、吉祥寺。

もうすぐ引っ越すKさん宅へ、撮影に。

無くなる前にその場所を、Kさんを、撮りたいと思った。

ひと通りにカメラを向けた後、ふと椅子に座ると、さっきまでは間違えていた。こっちだと思う。

たぶん残すのは、こっちの目線。

Kさんは引っ越しの準備で忙しい中、撮影のあとにお昼ごはんを食べられるように準備してくれていた。

いろんなことを話しながら、一緒に食べた。

その時間の中で、Kさんが自分の師匠から昔アドバイスされたことを、話して聞かせてくれた。

大事に両手にすくって持っていたものを、手渡してもらったような気持ちになった。

 

Kさんと別れ、駅の方へ向かう。

沖縄から戻ってきたAと待ち合わせている。

Aはまったく気配なく背後にいて、ようやく気づいたわたしに向かって笑っている。

バスにのって、道場へ行った。

公園で少し話してから、道場へ戻り、珈琲をのんで稽古をはじめる。

 

「合気道をしよう。」

入身転換。

入身転換から入り身投げの入り口まで

片手取り一教・・(右半身として)表の時は、左足が前に一歩出て、左手で相手の肘の内側を崩して右足が下が流。左足はそれに従う。

裏の時は、右に右足が出る→左足が従う→右足で下がる→左足が従う(ちょっと曖昧。)

そのまま、片手取りで二教、三教(手首の輪が大事)。四方投げ。小手返し。

入り身投げ(姿勢が大事。前傾しない)。

座技呼吸法。天地投げ。

 

 

杖を持って八方斬り。東西南北を斬るほうじゃなくて、パスカルさんのほう。

刃筋がわかっていないから、途中から刃筋杖を使った。

腰の位置を体重移動で変える→(手首のくの字がなくならない場所まで)横斬りをして、刃を反す→横斬りをする→刃を反す→繰り返す。

横斬りをするとき、上の手は滑らせる。

「この動きの中に大切なことが隠れてる。」とAは言う。

Aが時間をかけて見つけたことかも知れないから、どこにあるの?とは質問しない。

 

「型をしよう。」

"太刀落とし"から"霞"まで。

 

『引っ提げ』・・初動で杖を前に出しすぎない(姿勢を前傾させないため)。

杖は目付けだけして、そのままの位置。姿勢をまっすぐにすることがここでは大事。→その後で杖を前に出す。手幅を調整するともっと前に杖が出る。

繰りつけるとき、前の手は本手。後ろの手は逆手。杖の下に隠れたとき、杖の右側から相手を見る(いつの間にか左側から見る癖がついてた。)

 

『右貫』・・逆手打ちのあと、右足を左に置く場所のこと。左前じゃない。左足の左横に右足を置く。そうすれば下がりながら相手の小手が打てる。

手がおでこを回ってヘリコプターの動き。最後は両の手がクロスしてくっつく。

手で打つのではなく、手は固定させて腰で打つ。

Aはサンドバッグを天井につけてくれ、その動きを練習した。

 

『霞』・・体当たりの時、杖の左から相手を見る。真ん中の位置へ動いて体当たりする。下の握り拳は、相手の水月から拳ひとつぶん距離をとる。

 

夕方になり、こどもクラスがはじまる。

一緒に参加する。

 

Aとワインをのもうと話していたのに、館長が見学に来ていて、帰ろうとしないから、それが出来ず。

2026.04.14_Tue.

Nさんは兵庫へ帰ったのに、まだ家の中にNさんの気配がする。

 

9:00からTと稽古。

今日も湯を沸かしてくれていた。

なんか嬉しい。

 

ストレッチをしてから、神前に礼をするために正座をする。

その時にいつもTは「Are you ready?」とわたしに聞く。

頷くと、神前に向き、姿勢を正して、いつものように二礼二拍手一礼。

それがとても気持ちがいい。

 

Tはお辞儀をするとき、左手を先に畳につける。そして、姿勢を戻す時は右手から膝に戻す。

 

相対動作から稽古をはじめる。

まずはTが太刀を持って。わたしが杖を持って。

ひとつひとつ最後までやり終わって、Tが「じゃあ型をするか?」というから、

「(相対動作の)太刀を練習する。」と言う。

相対動作の打ち太刀を覚えてしまいたい。

ところどころの足の運び方、太刀の目的がどこなのか、まだおぼつかないところがある。

 

そして、表の型をひとつずつ。

「何回ずつやりたい?」とTが言うから、「10回。でも3回ずつにする。"笠の下"から後ろはもっとやりたい。」

Tはそれをやらせてくれた。

"鍔割"のとき、上段で握った手の位置をキープすること。

右手は右目の上を通ること。

"右貫"のときの水月を突くタイミング。

"霞"の体当たりした後は、杖先が最後まで相手を向いていること。

"笠の下"で相手の背に入り辛いのは、大きく相手の周りを回ってるからだ。

相手に触れながらくらいの近い位置に入れば、相手の背へ入りやすい。

"寝屋の内"の時は前足の踵を後ろ足の膝の近くに置く。

そうすれば大きく下がれる。自在に動ける。

本手に持ち替えるのを忘れずに。

"一禮"の立ち上がるタイミングは相手が太刀を抜く瞬間。

小手を打つ。

その後の逆手打ちを早く。

杖の下に隠れる。

右手を相手の身体につくまで大きくとる。

一番練習したのは"細道"。

相手の頭を狙う。

その後の逆手打ちを早く。

待つ。

返し付きの後、本手に持ち替えるのを早く。

 

ひと通りを終え、「どうする?なにかしたいことはある?終わる?」と話し、

「やりたいかと聞かれたら夜までやりたくなってしまうから、終わりにしようか。」と言って、

今日の稽古を終わりにした。

 

こんな稽古ができて、とても嬉しい。

2026.04.13_Mon.

朝起きて携帯電話を見ると、いまから家に伺っても大丈夫?とMからメッセージが入っている。

急に予定が変わって、泊まっていた場所を早くに出なければならなくなった様子。

 

7:20、起きた瞬間にMが玄関に到着した。

寝癖のまま、夏みかんとヨーグルト。珈琲をいれて、納豆トーストをつくり、

MとNさんとYとK(11才)と朝ごはんを食べた。

バタバタとKを学校に送り出し、自分も顔を洗い、支度する。

新しいのに替えてもうまくつかないんだと、天井のハロゲンランプをNさんに言ってもう一度触ってもらい(ついた!)、ついでに鯉のぼりも出した。

今日は10時ぴったりに来月の撮影の新幹線チケットを取らなければならない。

昨日Tにもそのことを話し、稽古の時間をずらしてもらっていた。

無事にチケットがとれた瞬間、「Did you have coffee already or shall I prepare water? 」(もう珈琲はのんだ?お湯を準備しておこうか?)とTからメッセージが入る。

今日はなんだか、いろんなことが交差して、ものすごいタイミングではまっていく。

無事にチケットが取れたことを編集者に連絡して、急いで道着を持って道場へ走る。

Tが沸かしておいてくれたお湯で珈琲をいれた。

そして、なにを練習したい?と聞いてくれたから、昨日上手く出来なかった『引き落とし打ち』の打ち太刀を練習したいのと、Aが帰ってくる前に表の型を出来るようになりたいんだ、と答える。

Tはまず、『繰りつけ』の打ち太刀をやってみるように言った。太刀は相手の頭に届くように。繰りつけられたあと、左足をひいて下がってもいい。そして次に右足を下げるとき、真ん中に戻る。

その後で『引き落とし打ち』の打ち太刀。

中段に構えるときは太刀を相手の鼻(目だったっけ…)の高さ→八相→踏み込んで相手の前の手を目掛けて、右袈裟で太刀を振り下ろす→相手の杖で太刀を打たれたら→右足を引き、右足を出して右袈裟→次に打たれたら、左足を引き、太刀は左に流されるから、左袈裟で太刀を振り下ろす。(この記憶で合ってるかどうか。)

 

そしてTは太刀と杖を交代しようと言って、わたしに杖を渡して「突き外し打ちをやってみて。」

と言った。

線を外す時は真半身、爪先の向きのこと、ほんの少し角度を持って線を外す。

相手を向く時、後ろ足が左へひらく。

次は無足。前に大きく出なくていい。

その次の足で大きく出る。

 

それから『体外し打ち』のこと。

杖は上段から振り下ろすこと。その時、右手が下に握ってるときは右目の上を通る。

左手が下だと、左目の上を通る。

 

表の型を練習する。

『太刀落とし』

『鍔割』

『右貫』

『物見』

『着き杖』

『笠の下』

『一禮』

『寝屋の内』

『細道』

 

稽古を終え、Tが「今日の予定は?」と聞くから、「今日は友だちが家にいて、わたしとTが稽古してる間に掃除機をかけて、昼ごはんを作っておいてくれるって言ってるの。…Tも来る?」

 

Tと一緒に家に帰った。

Mが冷蔵庫にあるもので昼ごはんを作ってくれている。

ケイジャンライス、こまつな、春キャベツときゅうりとトマトのサラダ。

Nさんが掃除機をかけ、目玉焼きを焼いてくれたらしい。

 

皆で円卓に座り、それをいただく。

冷蔵庫にあるものが、こんなにおいしいごはんになって、ある。かっこいいなぁ。

Nさんの『旅芸人の記録』という絵本には、英語の訳もついているから、それをTに読んで聞かせた。

Tが途中でなにか疑問を持った顔をする。

「たぶん日本語は(見開きの)右のページから左に進むけど、この英語は左から先に書かれてるんじゃないか?」

Tに言われて、あぁ、そうか!と。

Tの表情の訳がわかる。

 

たくさん話した。自分のこと、Tのこと、Mのこと、Nさんのこと、Yのこと。

 

Tの名前が"神様の息子"という意味なこと。

苗字が"雷の神の山"という意味なこと。

 

なにかの話をしていたとき、Tに「諦めないで。」と言われた。英語を勉強することを。

 

MとNさんが帰路につき、Tも帰っていった。

わたしは幸せかも知れない。

2026.04.12_Sun.

Tの具合はどうだろうと、朝は約束をしなかった。

家族もNさんもまだ寝ていたから、ひとりで珈琲をいれ、りんごを剥く。

支度をして9:00になる少し前に道場へいく。

「How are you feeling? Are you getting better?」

Tは、声が変だよ、とかすれた声で言った。

珈琲を入れているうちにMさんもやってきたから一緒にのんだ。

道着に着替えて、念入りにストレッチをした。

 

Tと二ヶ条を稽古しはじめる。

そのうちに皆の稽古がはじまった。

準備体操をして、基本動作。

そのままTと組み、斬り落とし、振りかぶり。

二ヶ条と三ヶ条。

そして自由技。

 

杖道の稽古。

太刀で抜きの稽古をしてから、杖を持ち、今日は"制定型"をひとつずつ。

 

Tが打ち太刀で、何かの時に一瞬タイミングをずらした。

わたしがそれを意識しているかどうかを見るためだ。

先へ行きかけて、"あっ"とわたしが止まったら、Tは頷いて、その先へと進めた。

 

その瞬間のことが面白かった。

2026.04.11_Sat.

4:30起床。まだNさんが眠っている地下の部屋に、そろりそろりと降りて支度する。

珈琲をひとり分いれ、昨日Nさんがお土産にくれたパンと、夏みかんとヨーグルト。

 

本部道場、7:00からI師範の稽古…

と思ったら、また今日もI師範ではなく。

F先生の稽古を1時間。

▪︎準備体操

▪︎入身転換

▪︎片手持ち四方投げ(表、裏)

▪︎正面打ち一教(表、裏)

▪︎座技正面打ち一教(表、裏)

▪︎正面打ち入り身投げ

▪︎肩持ち二教

▪︎横面打ち四方投げ

▪︎横面打ち二教

▪︎座技呼吸法

 

稽古が終わり、最寄りの駅に着き、

そのままコンビニで、コピー機と対峙。

携帯電話に転送しておいた写真データをQRで読み、次々にカラーコピーしていく。

縦の写真が思うようにいかない。簡単なことなのに、コピー機をうまく使えない。

どうすりゃいいんだ。

 

家に戻ると、まだNさんが出かけていく前で、

珈琲がのみたいと言ったら入れてくれた。

お腹がすいて、朝に食べた夏みかんとヨーグルトとパンをもう一度たべた。

 

Nさんがギャラリーへ出かけていき、そのあとで今日は家にMとKさんがやってくる。

ワインとそら豆と、立派な蕪を買ってきてくれ、Kさんは額縁に入った山の絵をプレゼントしてくれた。

Mは家にあった春巻きの皮を4つに切るように言い、K(11才)やわたしに教えながらそら豆を包んだ。ふわっと空気を含むように巻く。

 

ひき肉にコリアンダーとクミン、塩と胡椒、ヨーグルト、少しのニンニク。シガラも作る。

シガラを巻く時は、空気を抜いてキュッと巻く。

 

わたしは豆のマリネを作り、Kさんはキャロットラペを作ってくれた。

昨日作ったラタトゥイユと。

 

あっという間に食卓においしそうなものが並び、それを皆で囲んだ。

 

たくさん話して、ここのところ取り組んでいた写真の束も見てもらって、言葉をもらった。

Mはこの写真とこの写真の方向へ向かわなくても、作れることがあるんじゃないか、ということを。

Kさんはそれを見たあと、わたしに糸かがりの本の作り方をしきりにまっすぐ伝えはじめてくれた。

 

K(11才)はふと気付くと眠ってしまっている。

連日、夜遅くまでNさんが帰ってくるのを楽しみに待ち続けていたから。

 

20:30頃、ふたりは帰って行った。

目を覚ましたK(11才)は「もう皆んないっちゃった?」と夜になっていることに驚いて目を丸くしている。

 

そして、22:00を過ぎて電話が鳴って「あと15分くらいで着きます。」と言ったNさんが24:00を過ぎても一向に帰ってこない。

「(道に)迷った?」と心配になって電話すると、「キツネにつままれたようです。」と言う。

川沿いを歩き続けていると言う。

 

どうにかこうにか帰ってきたNさんは、コンビニで買った板チョコアイスを、お土産だとくれた。

2026.04.10_Fri.

Nさんがコンパスを手に到着して、昨夜は早く寝かせるつもりがつい話し込み、

写真の束まで重ねる始末。

まぁ、いいか。許してもらおう。

だって家に来たのだもの。

Nさんが到着した頃には強く吹いていた風が、Nさんがお風呂に入る頃には静まった。

もう眠れと言ってるみたいに。

 

お風呂から出て、Nさんがおならをした。

あぁ、良かった。リラックスしてくれた。

Nさんにそう伝えたら、「これは喋ってるんです。」と言う。

 

一日の中で、英語と大阪弁と標準語が、自分の口の中で渦を巻いていて、ぐちゃぐちゃに混ざって、何がなんだかわからなくなる。

この感じは初めてかもしれない。

 

ベッドで眠りはじめたNさんを、階段の上からナリタがまっすぐ覗きこんでいる。

 

今朝は皆で朝ごはんを食べ、K(11才)を学校へ送り出した。送り出した後で、「Kに、Nさんが居るから学校を休ませてほしいって言われたんだ。」とYが言う。

 

朝からテラスのタイルの件で、業者とのやりとりに疲弊していたら、Nさんがちょっと気持ちが軽くなる言葉をかけてくれる。

外にいる業者の人と話してみる。

 

10:00、傘を貸してあげて、Nさんは「Title」へ向かい、わたしは昨日Nさんに言われたことをやってみようとパソコンに向かう。

 

Kが学校から戻り、小雨が降る中、3人でNさんの展示を観に行くことにした。

『花守/中野真典展』。

ひとつずつ絵を見て、それぞれにちいさなお守りを選ぶ。

Kは自分に似た男の子が削られたのを選び、わたしは2羽の鳥が花を咥え持つのを選んだ。

双方から花を咥える力加減を想像しながら眺めるのが面白かった。

そして、"旋律"という題名のついた作品を手元に飾ろうと思った。

白い花がまっすぐ背を伸ばしている。「削られたところが光るんです。」Nさんの言葉に従って、それを窓に向けると、キラキラとして、ずっと見ていられた。

 

晩ごはんも済んだとき、ふと来週の稽古時間が気になって、沖縄にいるAにメッセージを送るうち、

6月の京都のことが頭に広がり、電話をして胸の内を全部話す。

早く帰ってきたらいいのに。

 

家から遠い方の駅から歩いて帰ったきたNさんは、足がパンパンだと言って、履いていた紫色の靴下を脱いだ。

 

寝る前に夏みかんを剥く。

2026.04.09_Thu.

昨夜、寝る前にTからのメッセージ。

風邪をひいて、喉が痛くて鼻水が出るという。わたしにうつしてしまわないかも気にしている。

 

旅先で不安かもしれないと思い、急いで日本語を英語に直して返信した。

夜のうちに熱が出なかったら明日も稽古しよう、朝にまた体調を知らせる。そういう話になった。

でも朝、「今日は稽古できる体調じゃない。」と詫びるメッセージが入る。

 

「あとで加湿器持っていくよ。」

そう言って、スーパーとコンビニに走り、

冷凍うどん、葛湯、冷えピタ、ポカリ、バナナとヨーグルト、大根と蜂蜜、ウィダーイン。

 

家に帰って、大根を賽の目に切り、蜂蜜に漬けた。家の体温計も持った。

 

道場に着くと、Tはきちんと服に着替えてテレビでニュースを見ていた。

湯を沸かし、加湿器に水をいれ、体温計を渡した。熱もなく、思ったより大丈夫そうだ。

葛湯を作ってあげた。それは何だと言うから、日本人は風邪を引いたら飲むんだ。

Magical drinkだと言った。

カリンと葛。喉にいい果物と、葛。

"葛"を説明するのが難しかった。Tが翻訳ソフトに入れると、もちろん"trash !?"となった。

 

「But I felt relieved.

I was worried I might find you lying there in your pajamas.」

(でも安心した。パジャマで倒れてると思った。)

そう伝えると、Tは笑っていた。

 

大根のシロップは、すごく喉にいいけど、お節介が過ぎるな、と思って渡さずに帰ってきた。

 

そして、家中に掃除機をかける。

今夜からNさんが泊まりに来る。

個展の為に上京して、家に4泊する。

 

今夜は搬入で遅くなると言っていたし、ぐねぐねに疲れているだろうから、早めにお風呂に入れて休んでもらおう。

 

たっぷり時間はあるんだし。

2026.04.08_Wed.

Tから「properly」を教わって、

「I’ll remember it properly.」とメッセージしたけど、送ったあとで翻訳ソフトにかけてみたら、

「ちゃんと覚えておきます。」になった。

 

「ちゃんと覚える。」とTに言いたかったのにな。

「ちゃんと覚えておきます。」じゃなくて。

 

I’ll learn it properly.(ちゃんと覚える。)

I want to learn it properly.(ちゃんと覚えたい。)

……

・learn = 習って身につける、覚えるようになる。

・remember = 覚えている、思い出せる。

……

自分が言いたかったのは、身に"入れる"ほう。

 

夕方、仕事帰りの電車の中。

編集者Aさんから撮影依頼のメッセージ。

 

文字を読んだだけでワクワクする。

 

これまでと、これからが違う気持ちになる。

 

「ぜひお引き受けさせてください。」と返事を書いた。

2026.04.07_Tue.

父の誕生日。

昨日ワインを発送したのが、午前中には届くはず。

 

今日も9:00からTと杖道の稽古がある。

道場へ向かう前に、昨日のおさらい。

 

……

【昨日の復習:相対動作の打ち太刀】

▪︎本手打ち(送り足で下がる)

・右足が前、中段に構える。

・構えを解く(太刀を下段に下す)。

・打たれる瞬間に左足から一歩後退する。

・太刀下段のまま、この動作を繰り返す。

・「やめ」の合図で、中段に構えて杖に合わせる。

(この時、どちら側から太刀をあてるかは、昨日Tが教えてくれたこと。

相手の後ろ側の腰がある方から合わせる。)

 

▪︎逆手打ち(歩み足で下がる)

・右足を前、中段に構える。

・右足を一歩後退して、太刀を立てて杖を受け止める。

・左足を一歩後退して、杖を受け止める。

・繰り返す。

 

▪︎引き落とし打ち(歩み足で下がる)

・中段に構える。

この時の間合いが、近間より一歩後ろ(畳一畳と2/3くらい)。

・杖で打ち落とされるのと同時に、右足を退いて、太刀は右後方へ。

・左足を退きながら太刀を上から中段に構える。

・打たれたら、左足より退いて太刀は左へ。

・「やめ」の合図で、左足が退き、下から杖にあわせる。

 

▪︎返し突き(歩み足で下がる)

・右足が前、中段に構える。

・右足を退いて、左上段に構える。(左手の拳が左目の上。)

・杖で水月を突かれたら、左足を退きながら中段に構える。

・さらに右足を退いて、左上段に構える。

・繰り返す。

 

▪︎逆手突き(歩み足で下がる)

・右足前、中段に構える。

・右足を一歩退いて、左上段。

・水月を突かれたら、左足を大きく退きながら、相打ちの要領で切り結ぶ。

・繰り返す。

 

▪︎巻き落とし(歩み足で下がる)

・右足前、中段に構える。

・右足から進み、両手を伸ばし正面を打った状態となる。

・右後方に巻き落とされながら、右足を退く。

・左足を退きながら、太刀を後ろ上方より「仕」の正面を打つ。

・繰り返す。

 

▪︎繰りつけ

・右足前、下段から中段、左足前で八相の構え。

・正面を打つ。

・右足から退きながら、繰りつけられ、

・さらに左、右、と退き、八相に構える。

・「やめ」の合図で左足を退きながら、構えを解き(下段にする)、正対する。

 

▪︎繰り放し

・右足前、中段に構える。

・左足前、八相に構える。

・右足前、正面を打つ。

・右、左、右足と後退して、八相に構える。

・「やめ」の合図で下段。

 

▪︎体当たり

・右足前、中段の構え。

・左足前、八相の構え。

・右足前、正面を打つ。

・右足を左足に引きつけ、太刀の先を右横にして頭の上。

・左足から交互に小さく4歩退き、八相に構える。

・繰り返す。

 

▪︎突き外し打ち

・右足前、中段→左足前、八相に構える。

・左足を出すと同時に、太刀を左腰にとり、右足を踏み込んで水月を突く。

・杖で打たれたら、右足を少し引く。

・右、左、右足と後方に退く。

・「やめ」の合図で杖に合わせる。

 

▪︎胴払い打ち

・右足前、中段に構える。

・足そのまま、左八相に構える。

・右足を一歩踏み込んで右胴を打つ。

・右、左足と退きながら

・「やめ」の合図で左足を退いて杖に合わせる。

 

▪︎右体外し打ち

・右足前、中段に構える。

・八相に構える。

・右足を踏み出して正面を打つ。

・打たれた太刀は右側に流し、さらに左足を出して八相に構える。

・繰り返す。

 

▪︎左体外し打ち

・右足前、中段に構える。

・左足前、八相に構える。

・右足を踏み出して正面を打つ。

・打たれた太刀は左側に流れる。

……

 

道場へ。

着くと鍵は開いていたけれど、Tが居なかった。湯を沸かし、珈琲をいれた。

ランドリーに居るからちょっと待ってて、とメッセージが入る。

 

Tは昨日、上野公園へ行ってきたと話した。

「犬を持った男の人の銅像を見た?」と聞くと、「馬に乗ってたよ。」と言う。

 

「I want to practice 相対動作」

そうTに伝えて、素振りから稽古をはじめる。

そして、相対動作。

まずは杖を持つ。

そして太刀を持つ。

ひとつずつ、ひとつずつ。

Tがいくつもの箇所に言葉を添えてくれる。

 

ひと通りが済んだ後、Tがこちらを改めて向きながら、ひとつのことでも、学ぶ段階によってfeelingが変わってくる、と英語で言った。

moveとは言わなかった。

「しょ、ちゅう、く。」

く、ではなく、ご、かも知れない。

意味は、"初め"はひとつひとつを確かめるような基本の動き、"中"ではそれが滑らかになる。さらに次の段階になるともっと滑らかで早くなる、ということだった。

そして『体外し打ち』をして、その3つの違いを見せてくれた。

 

『逆手打ち』の身体の向きのこと、

『巻き落とし』の杖の軌道のこと。

 

『胴払い打ち』の打ち太刀の動きのこと。

下がるより先に太刀を上げて、自分の身を守るのが先。それから下がれ、と教えてくれた。

 

そのあとで"特殊技"の3本を、杖を持って、太刀を持って、練習した。

 

今日は11:00過ぎまで稽古した。

 

別れるとき、「ちゃんと覚える。」と言いたかった。

「ちゃんと、は英語でなんていうの?」と聞くと、Tは「thoroughlyかな…。」と言った。

 

帰り道、歩いていると、Tから「properly」とメッセージ。

自分も英単語をひとつ新しく覚えたよ、と優しい言葉を添えてくれている。

2026.04.06_Mon.

始業式。K(11才)が6年生になる。

数日前からそわそわして、「顔が乾燥するから洗顔フォームを買ってほしい。」と言われた。

自分でネットで調べて、768円、Doveの"低刺激、敏感肌用"の洗顔フォームを携帯電話の画面に

表示させ、それを見せられた。

Yには、洗顔フォームより保湿だと言われていた。

 

昨夜は泡立てネットでボディソープをもこもこにして身体を洗っていた。

普段身体なんていくら言っても洗わないのに。

 

昨日Yとふたりの時に、「垢抜けたいんだ。」と漏らしていたらしい。

そんな言葉を覚えたんだ。

垢抜けたくて、身体を洗っている。

 

夜、隣の部屋からKがきて、「眠れないからこっちで寝てもいい?」と言う。

よくよく話を聞いてみたら、クラス替えで仲のいい友だちと同じクラスになれなかったら、

いま友だちじゃない子と友だちにならないといけない。

たくさん友だちがほしいから垢抜けたい。

 

考えた道を知ると、Doveくらい買ってあげたくなる。

 

朝は階段を下りるといい匂いがした。

随分早くに起きたKが、なにかしているな、と思ったら、朝ごはんを作ってくれていた。

りんごを薄く切ってパンにのせ、きび砂糖とメイプルシロップをかけて焼いたんだと言う。

 

Kを学校へ送り出し、道場へ行った。

9:00からTと杖道の稽古。

着くとTは歯を磨いていた。昨日は夜中まで友だちと会っていたらしい。

そしてTは珈琲を飲まない。お菓子に入ってるのは大丈夫。

スウェーデンでも焙じ茶か煎茶を飲んでいると話した。

Tが着替えている間、ひとり分の珈琲をいれた。

Tの普段通っている道場のweb siteを見せてもらった。すごく綺麗で大きな道場。

200人くらいの生徒がいるという。

 

紺色の道着を着た。"今日は杖道の稽古をする"と背筋を伸ばす日、Aがそうしている。

「色が変わった!」と同じく紺色の道着を着たTが言った。

 

本手打ち、逆手打ち、引き落とし打ちの素振りから稽古をはじめる。

引き落とし打ちの時は、昨日練習したことをゆっくり確認しながらやろうとTが言った。

 

そして、基本の単独動作を一通り。

続けて相対動作。まずは杖を持って一通り。

まだ覚えきれていない相対動作の打ち太刀をひとつずつ。Tは根気よく教えてくれた。

途中、"繰りつけ"と、"繰り放し"の動作を教えてくれている時だけ、言葉を全部理解できなかった。

Tは少し考えて、何度もゆっくり動いてみせてくれた。

 

Tが伝えようとしてくれている事をわかった時、ホッとした。

 

10時半頃に稽古を終える。

「メモをとる?」と聞いてくれたけど、「たぶん覚えてるから、後で帰ってからメモするよ。」

と言った。半分嘘で半分本当。

 

頭がいっぱいで、またイチから戻る集中力が保てなかった。

動き出せば、細かいことを覚えている。

でも全体を俯瞰したとき、すべてがまた曖昧になる。

曖昧を確認するのに、長い時間がかかる。

Tの日本に滞在している貴重な時間を、そのことに奪うのが嫌だった。

「また明日練習する。」そうTに答えて、畳を出た。

 

帰宅すると、Kがベッドに突っ伏して眠っていた。

「HとM(Kが仲良い友だち)と、同じクラスになれなかったんだって。」

寝ている姿を見ながらYが言う。

Kはそのまま6時間眠り続けた。

 

【忘れそうなことをメモ】

▪︎太刀と杖を合わせて構えるとき。

仕立ち(杖を持ってるほう)が半身を取っているのが左半身だったら、自分から見て左側から太刀を触れる。相手が右半身だったら、自分から見て右側から太刀を触れる。

(相手の後ろの腰がある方に太刀がくる。)

▪︎一番最後「やめ」のあと。足を揃えるとき。

太刀は下がって足を揃える。杖は前に出て揃える。

▪︎引き落とし打ちの打ち太刀。

近間から1歩多く間合いをとる。(たぶん1畳と2/3くらい。)

右足を前に出して中段に構える→左足を前に出して八相に構える→そこから右足を踏み込んで斬るから。

▪︎体外し打ちのとき。

おでこの前に自分の腕が来たあと、杖を握っている拳の位置を下げずに上段から斬る。そのとき、下にある方の手が右手だったら自分の拳は自分の右目の上。左手だったら左目の上。

▪︎繰りつけ

繰りつけるとき、意識はどこに向いていて、爪先はどこを向いているか。目付けるときに前足の爪先は相手に向き、後ろ足は若干左へ開いた位置に置く。まだ逆手のまま。

次のタイミングで本手に持ち替える。半身をとる。

▪︎繰り放し

繰り放した後で打ち太刀はどう動き、どのタイミングで杖は目付けをするのか。前に出るのかを考えること。

2026.04.05_Sun.

1年ぶりにTと稽古をする日。

パンも喉を通らない。

去年も来て、今年も来たから、来年も来るとは限らない。10年会えなくても、死ぬまで会えなくても不思議じゃない。

 

皆が来る前に少しだけでも稽古しようと、8:30に約束した。

道場に着くと、Tはもうばっちり道着に着替えていて、杖を持って素振りをしていた。

 

元気か?と聞くから、元気だと答えて、

「I remember…」と言って、Rummyをあげた。

去年、Tが好きだと言って探し回っていたロッテのチョコレート。

去年までは冬季限定で、4月に探すのは大変だった。

Tが今年も来ると分かったとき、それをぎりぎり冬のうちに買っておいた。

気にしているとそればかりが目に入った。

今年からは新しく春夏バージョンのRummyも売られることになって、それもひとつ買っておいた。

Tはとても喜んでくれた。

 

不思議と言葉にはまったく困らなかった。

昨日と何が違うのだろう。

人の違い、関係の違いかも知れない。

 

引き落とし打ちを片手でやることから、Tは稽古をはじめた。

杖が不安定になって、とても難しかった。

 

そして打ち込みをした。

本手打ち、逆手打ち、引き落とし打ち。

引き落とし打ちのときに、前の手の位置がキープ出来ずに下がってしまうことを注意された。

水月の前、帯あたりの位置。脇をしめること。

 

緊張してるつもりはなかったのに、下の手を開きながら引き落としてなかった。

ぽっかり初歩的なことを間違えた。

 

そして、両手を後ろに組んで棒立ちになったところに、本手打ち、逆手打ち、引き落とし打ちをして、相手のこめかみに寸止めする練習。

 

皆が来始めて、ストレッチをした。

追い突き、逆突き、三段突き。

そしていつものように合気道の稽古。

足捌き、基本動作、臂力の養成、振りかぶり、切り落とし。

二ヶ条と三ヶ条のルーティン。

館長に関節を折られて、Tが嬉しそうに受け身をとっていた。

小手返し。

休憩を挟んで、自由技。

 

杖道の稽古。

MさんとTが打ち太刀で、表の型を一通り。

何度か納杖の前、Tに「半身。」と言われた。

そして、型が後半に向かうにつれ、まだ上手くできないことが増えてくる。

最後の『細道』のとき、Tが日本語で「目的は?」と言った。その動作はいま、何の為なのか。

Tはわたしにそれを伝えて、だからこのタイミングでこう動くんだ、ということを教えてくれた。

 

杖を肩に担いで相手に歩んでいく。

左足を前に杖を振る。そのときは相手の頭を狙う。相手はそれを避ける。

自分はすぐに次の構えをして待つ。相手が斬ってくるのと同時に、自分の杖も相手の小手へ向かう。

次に相手が振りかぶったときに"返し突き"、間髪入れずに杖を引き、本手に持って、"本手打ち"。

納杖。

 

稽古を終え、館長とTとMさん、Kさんと花見をした。

雨の予報だったから門人皆が集まる花見は中止になったけど、結局降らなかったから。

ビールと紙コップと敷物を道場から持ち出して、館長がミニストップでおにぎりと唐揚げとポテトフライを買ってくれた。

 

Tの住む町には桜の木が1本だけあること。

スウェーデンを出る時はマイナス2℃だったけど、Aの居る沖縄に着いたら25℃だったこと。

マイナス2℃でも桜が咲くこと。

ビールは飲むけど、ウィスキーと焼酎が苦手なこと。

飼っていた猫は亡くなってしまったこと。名前はピクセルということ。

 

いい時間だった。

2026.04.04_Sat.

いつも通り7時からのI師範の稽古に出たかった。

でも昨夜はうまく眠れなくて、4:30のアラームで目は開いたのに、気がついたら5:30。

急げばどうにか、と階段を走ったけど、階段の下で(もういいか…夜のクラスにしようか…)

頑張れなかった。

 

朝ごはんを食べ、使う写真の番号が戻ってきているから、その仕上げ作業。

 

自分は撮影をすること。仕上げる作業をすること。それをアウトプットすること。日記を書くこと。

合気道と杖道をすること。移動すること。特にいまは、国の境なく話せること。

人と猫の体温。ドミトリーに泊まること。

それが日常の中にあれば、機嫌良く過ごせるような気がする。

わかるまでに長く時間がかかったけど、つい最近になってようやくわかってきた。

 

どれかが欠けると駄目なことも。

 

夜、本部道場へ行った。

O師範の稽古を1時間。

Tと同じスウェーデンから男女が稽古に来ていた。

あとで話しかけてみよう。

……

▪︎準備体操

▪︎片手持ち呼吸法

▪︎横面打ち四方投げ(表、裏)・・表は転換、裏は前に出て受ける。

▪︎正面打ち一教(表、裏)

▪︎片手取り入り身投げ・・(下段で手をはずすか、上段ではずすか)上段ではずす場合は、自分の肩のあたり。転換を急がず、相手の背へ深く入り身すること。

O師範が来て、片手を取りにいくときに身体が前傾しすぎだ、と注意された。

▪︎横面打ち二教(表、裏)・・相手に届く位置から横面を打つように。しっかりこめかみを打つようにとO師範に言われる。距離感や位置がずれている。

▪︎横面打ち三教(表、裏)

▪︎横面打ち五教(表、裏)・・五教のときは表も裏も前に出て受ける。O師範が来て、横面打ちを打つときは、頭で予測してしまって、つい外側から打ってしまう。正しい足の位置で横面を打たないと(外に足が出過ぎると)、踏み込んできた相手の足とぶつかって小指を脱臼する。今のそれは危険な位置だと教えてくれた。

五教の手をとるときは、一教のように取ってしまわずに、それと逆側から手を取る。抑える時は、相手の肘を上から掴み、上げる。手首を折って抑える。

▪︎座技呼吸法

……

稽古が足りていない。

3月は稽古以外のことを詰め込んだ。

4月はTと稽古がある。Aも帰ってくる。

5月はチリからとロシアからも人が来る。

杖道の稽古が多くなる。

今日の感じだったら、6月の京都には、合気道の稽古が全然足りない。

 

稽古が終わり、掃除した雑巾を洗いながら、着替えながら、スウェーデンの女の子と話してみた。

わたしの友だちもスウェーデンから2日前に来たところなんだと伝えて、彼はスウェーデンのこの町から来て、私たちは杖道の稽古をするんだと言った。

彼女はイェーテボリという町から来ていた。Tの町とは随分離れている。

今日が最後の稽古だとか、どのくらい稽古してるんだとか、最後は高い塔の上から景色を見たらhugeだった、みたいな話。なにが?なんでその話になった?

話が進むにつれて、どんどん話す速度が加速していく。

ここは日本で日本人に向かって話しているのに容赦がない。若いとは。痛みを知らないのだろうか。

昨日Tがどれほどゆっくり話してくれていたのかが身に沁みる。

 

帰り道にいつものホステルのカフェに寄った。

右からは英語が聞こえ、左からは日本語が聞こえた。そうなると日本語しか聞こえなくなる。

 

珈琲は一杯だけにして、帰路につく。

 

2026.04.03_Fri.

今日は新入生を迎える準備があるとかで登校して行ったけど、春休みの間、ずっと家にいるK(11才)が、昨夜も諦めずに「一緒に桃鉄やろう!」と言ってくるから、「どうしても好きじゃないから、短い時間だったらいいよ。」と数十分付き合う。

 

案の定、楽しめなくて、「これのどういうところが面白いの?」と聞くと、

「地理と投資だよ。」と言う。

 

「ゲームの代わりにこの間インフルエンザのときにYとKがふたりでハマったと言ってたアニメ、なんだったっけ。それ観てみるよ。」

 

そしてNetflixで1話から『ゴールデンカムイ』を見始めた。アイヌの話だ。

民映研の映像で観た『イヨマンテ 熊おくり』のことが話に出てきた。

出てくるごはんもいちいちおいしそう。

 

「こっちはハマった!」と言うと、Kがうれしい顔をする。

 

こういうときに、一緒に旅をしたくなる。画面の中ではなくて。その土地はあるのだから。

 

夕方、仕事帰りに西荻窪に寄る。

どんぐり舎で珈琲豆を買うついでに、一杯だけ席に座って珈琲をたのむ。

Kもまだ道場に行ってるし。

 

迎えがてら道場に寄って、Tに会えた。

自然と英語で話が出来た。ちょっと嬉しかった。

私たちの間には杖道があるから話せたのかも知れない。

2026.04.02_Thu.

昨夜はお風呂あがりにはじめたweb siteの更新に、夜中までかかった。

寝ようかな、とふと携帯電話で時刻を見ると、朝に送ったメールの返信が届いていた。

 

わたしの(送るときに書き添えた)問いかけには、一切答えのない、

 

「全クラスの参加を承りました。

参加費は12,000円。

初日、受付にて現金払い。

京都 武徳殿でお待ちしております。」

 

という内容のメッセージ。

 

ちっとも体温を感じない。

行ってみて、場がこういうのだったら嫌だなぁ…。

 

窓の外の雨音と、猫の鳴らす喉の音を聞きながら、もう寝ようと思った。

 

また猫のゴロゴロが聴こえると思ったら朝だった。9:12。今日はまだ眠れる。まだ眠い。

 

10:37、近所の道場の写真に「ただいまー」のメッセージ。スウェーデンのTからだ。

どれだけ早朝に沖縄を出たんだろう。不思議な時間に、待っていた人がやってきた。

2026.04.01_Wed.

「稽古"しましょう"。」じゃなく「稽古"しよう"。」と言いたいんだとか。そういうことが気になる。果てしない。

細部を気にする前に、まだ見えていない大枠でしょう?と思う。

 

どうしてその土地その土地でここまで使う言葉が離れたんだ、とか幼稚な疑問も頭に出てくる。

その割に「」(カギ括弧)はどうしてどこの国でも共通なんだとか。

訳がわからない。

 

中学英語の分厚い本を買った。

今日は開いて、閉じただけ。

 

昨日準備したメールを、えいっと送った。

「現在4級ですが、参加可能でしょうか。難しい場合、見学させてもらうことは可能でしょうか。」

と書き添えた。

ディズニーランドのアトラクションと同じで、なるようになって、通り過ぎるはず。

あの時のK(11才)の気持ちがよく分かる。

 

ジャケットなしではじめて外に出たら、帰りはしっかりと雨に降られて、とても寒かった。

持っていたスヌードを肩まで覆い、暖をとる。

2026.03.31_Tue.

朝ごはんを食べ終わり、「お風呂に入る。」と言うと、Yが「クナイプしな。」と言う。

風呂をいい匂いにして、リラックスしろと言っている。

今日はテラスのタイルの件で業者の人が来て、その場で判断して、言うことは言うということをしなければならない。

こんな真っ暗な曇天の日に。春の嵐まで吹いている。

 

厄介なことがはじまる前に、昨日の粗画像をTさんにお送りする。

 

明日、合気道のことで少し勇気のいることに申し込もうと、すぐに送信できるように準備をする。

そして、今度Aに会ったら受け身を教えてもらえないか相談してみようと思う。

 

6月に京都に行こうと思う。

白帯で参加する人は少ないと思う。

組んでもらえないと思う。

その場合は見学しようと思う。

だけどもし組んでもらえたときに、迷惑がかからないように、受け身が取れるようにしておきたい。

教えてもらえないだろうか。

 

そんなことをしながら、考えながら、仕事部屋の掃除をする。いらないものを捨てて、整理してすっきりしたい。

 

K(11才)が桃鉄を買って、「一緒にやろう。」と何度も言われるけど断る。

どんなゲームも楽しめたことがない。

2026.03.30_Mon.

あたらしい靴下を履く。

ロケで三重県の四日市へ行く。

名古屋で編集者Tさんと待ち合わせ。

 

家族の写真を撮りに行く。

現場にいくと、3世代が時間を合わせ待ってくれている。

家族の写真を撮る時は、その家族にとって残るものだと思って場所に入る。

何年経って、今日の写真を見返しても、それがいい写真であるようにしたい。

前よりも、自分が今の年齢になったからか、家族に向くときは、集合した写真でも、

その夫婦の写真でも、ひとりの写真でも、"残るもの"、"見返すもの"という意識が強くなる。

今日は撮ってこれたんじゃないかと思う。

 

行きも帰りも、新幹線の特大荷物置き場のやりとりがめんどくさい。

予約してない奴がスーツケースを置いている。

どこの国の人かは知らないけれど、どこの国でも迷惑な奴は迷惑なことをする。

Reservatin Required(要予約)と床に英語で書いてある。

もっと英語が話せたら、「見えてないはずないだろう?」と言いたい。

 

行きは通路を挟んで隣の夫婦がそのことで荷物を置けずに困っていたから、

置いたのはあいつだ、とたまたま男の子ふたりが置くのを見ていたから教えてあげた。

 

帰りは自分が同じ目にあった。

朝に自分がそうしたように、隣の席の男の人が、置いたのはあの女の人だと教えてくれた。

 

柔らかい表情を作るのが面倒で、真顔でその女の人に「This space is mine.」と言ったら、

女は何か言いたそうだったけど、すぐに連れの男性がスーツケースをどかしてくれた。

 

次に同じことがあった時は、

Excuse me, this is my space.

(すみません、ここは私のスペースです。)

 

Excuse me, I reserved this space.

(すみません、ここ予約しています。)

 

と言えるようになっていたい。

 

そして、「見えてないはずないだろう?」は、

「You can see it, can’t you?」

上手く言わないと強い言葉になるかも知れない。

 

K(11才)がわたしの真似をしてはじめたDuolingoが今日で100日目だったから、東京駅で甘いものを買う。

最寄りの駅で家族と待ち合わせて晩ごはんを食べて帰る。

 

歯を磨いて顔を洗って、寝る。

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上山知代子

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