CHIYOKO UEYAMA
CHIYOKO UEYAMA.Japanese Photographer, Official Web Site.
2025.04.13_Sun.
稽古。今日はなんだか上手く集中できない。
Aさんが居ないなー、とか。頭の中に、無いものばかりが浮かんで消えてくれない。
目の前のものが本当のことなのかどうかを疑ったり、Aさんの手の形はなんの疑いもなくただ信じたらいいから集中できるんだよなー、とか、今日は本当に無いもののことばかり。自由技も何ひとつ上手くいかなかった。
杖道も。教えてくれる人の真似をしなさいって、昨日の夜に読んでいた杖道の本には書いてあったけど、こんな端っこからじゃ、手元も杖の角度もなにもかもが見えないよ、とまた不足を頭の中に広げてクサクサしていたら、急に上手(かみて)に居たKさんが場所を代わってあげると言って、見えやすい場所を譲ってくれた。最後の最後にようやく集中して、『胴払い打ち』を習う。集中できたと思ったら稽古が終わる。今日は駄目な日だった。
更衣室に戻って携帯電話をみたらMからの着信。帰宅してかけ直すと「Fさんが本(『Words』)を見つけてくれたよ!」と明るい声。
だれていた身体がしゃんとする。駄目な日だったけど、こんなにうれしいことも今日は起こった。六甲の山の上から糸で引っ張って身体を起こしてもらった気持ち。
2025.04.12_Sat.
友だちの家に遊びにいったK(10才)から夕方に電話が入る。何か大変なことに直面していることが声色からすぐに分かる。
「Kさ、自転車で人とぶつかっちゃってさ、転ばせてしまったの。」「わかった。すぐに行く。Kはいまどこに居るの?」「サミットの前。」
着くと犬を連れた60~70代の男の人と、(状況に)驚いて泣いている友だちと、困っている顔の友だちのお父さん。申し訳ありませんでした、と謝って状況を聞く。おじさんは転んで膝から血を出していた。治療費は払ってもらわないと、というおじさんに、「こどもは自転車の保険に入っていますので、そちらできちんと対応させていただきます。」と言って、警察に電話するというと、おじさんは一旦家に犬を置いてくると言って離れたあと、またすぐに戻ってきて、「こどもがやったことだから、次から気をつけてください。」と仰った。「こどもは自分の声できちんと謝りましたか?」と聞くと「謝ってくれた。」とおじさん。本当に申し訳なかったけど、大事に至らなくて幸いだった。
おじさんが帰ったあと、Yも駆けつけて、3人で道の脇に座って顔面蒼白のKを撫でる。
友だちの家から、近くの公園に向かう最中のことだったらしい。ゆっくり自転車を漕いで帰宅して、ココアを入れて3人で飲んだ。「おじさんはリードを持ったまま転んで、犬は転ばなかったの。」とKが話すのを聞きながら。
2025.04.11_Fri.
朝、Mから心のやりとりの言葉が交わされた長いメールが届く。電車の中で読みながら、そのメールの中の光景はもう自分の身体が知っていることで、つい昨日の出来事で。朝からとても幸せな気持ちになる。
この出来事の登場人物(Fさん、M、Tさん)に沢山"ありがとうございます"が言いたい。
夕方、古本屋で永井宏さんの『Words』を探したけど、そんなに簡単には現れない。だけど自分の臭覚は確かで、「いまその本はないけれど、この壁にある絵は永井さんが描かれたものです。」と古本屋の店主が教えてくださった。たぶんそう遠くないうちに、『Words』は自分の目の前にまた現れるだろう。近くにある。そんな予感がする。
帰り道、友人のMちゃんが、「庭のアカシアが咲いたので、いつでも取りに寄って。」と連絡をくれていたので、遠慮なく貰いに行った。Mちゃんは大きなアカシアの花束と、「田舎から送られてきたの。」と、パッションフルーツもわけてくれた。家族にそのことをLINEで伝えると、「よかったね。」と返事がきた。そう。よかったの。今日はいい事が沢山あったの。
夜、ロケの前日と帰ってきた日は一緒のベッドで眠ったKが、また今夜からひとりで寝るという。
「かか、寂しくなったら部屋越しに話しかける。」きゅんとする言葉をのこして10才が自分の部屋へ行った。
2025.04.10_Thu.
昨日の夜に焼いてくれたシフォンケーキを朝、型から外した。
シフォンケーキは底が上だ。わかってるんだけど。ふわふわの上が上じゃない。昨日撮影した魚だってそうだ。Mはフライパンで皮じゃない方から焼きだした。わたしは「皮から焼くんじゃないんだ。」と声がでた。Mは「わたしの料理はこっち(皮じゃないほう)が上にくるから。」と言った。
シフォンケーキと魚。そのふたつの出来事が強烈に身体の中に残る。
なんでもかんでもふわふわが上だとする自分の頭はなんだろう。皮を見れば馬鹿のひとつ覚えのように皮から焼こうとする自分の頭はなんだろう。
昨夜FとFちゃんの部屋に忘れ物をして、取りに行ったときにFちゃんがMに渡して、と永井宏さんの『words』という本を言付かった。
わたしも見せてもらって、ページをめくると、片側に英語の文章、片側に日本語。そこにある言葉は英語であっても、すーっと自分の身体の中に入ってくる。声に出して読んでみる。
この本で英語を勉強できたらどんなにいいだろう。もう簡単には手に入らない本を、自分も欲しいというわたしに、Mは「T君なら何か知っているかも知れない。聞いてあげるよ。」と言って、すぐにTさんにメールを書いてくれた。
今日は一日Mの部屋で過ごすことにして、パソコンでのデータ整理の方法をMに教えて、それと交換に、家で何度やってみても失敗するマヨネーズの作り方を教えてもらう。
………
◼︎マヨネーズ
必ず全てに水分がない状態で、卵黄をいれる。多少白身が入ってもいいけど黄身が割れないようにしたほうがいい。(割れてもいいけど。)
フレンチマスタード大匙1
練りがらし、塩各小匙1/2
を、卵黄のふちに置いていく。
泡立て機を立ててそっと黄身を潰しながら全体を混ぜ込んでいく。泡立て器を大きく回す。
米油90mlを少しずついれて、完全に混ざったらまた少し入れ、また完全に混ざったら次。
酢を入れると柔らかくなるから、ある程度硬めに。酢を大匙1入れる。さらに米油を90ml少しずついれて混ぜる。
作っている間に時間をかけすぎない。丁寧にしすぎない。
………
帰りの新幹線。Mが持たせてくれた炊き込みごはんのおにぎりと、Aさんにいただいた"にらとキクラゲ天"。
2025.04.09_Wed.
ロケで神戸。Mのところ。
毎年は5月にこの撮影が入るけど、今年は1ヶ月早い。いつもこの季節のこの撮影の時には何故か咳が出るけど、1ヶ月も前だからかまだ喉の調子はおかしくない。
今回はレシピを見ただけですぐにやってみたくなって、東京に居る間に試作してみたのだけど、今日はまた細やかに何かが違って、きっとわたしはそれに驚くだろう。いつもそう。
新神戸駅でNさんと待ち合わせ。タクシーに乗っているとき、はじめて神戸で桜をみた。
夕方に撮影が終わる。
Mと外に出て散歩する。坂道を上り、くねくねと道を歩いて、桜の場所に出た。
公園のベンチに座って、缶ビールを分けて飲んだ。
上の階に住むFとFちゃんが家に戻ったと連絡をくれたので、その後ふたりの部屋にお邪魔した。
Fがカンパリを作ってくれて、Fちゃんが作ってくれた焼豚と、撮影のものを食べながら4人でいろんな話をした。
話しながら、話の中に出てきた覚えておきたい言葉をメモしていた。
・unconscious(意識を失っている)
・subconscious(意識していないけど、どこかで働いている心の部分。潜在意識。)
・Look for the unexpected(予期しないものを探す)
リラックスしながら集中することの話をしたんだなぁ。
先日Aさんに言われて驚いた"you"のことも、FとFちゃんに話してみた。その話にふたりもたくさん笑った。英語の文章の中に"you"ではなく、名前を入れたとき、FもAさんと同じ顔をしていたのが可笑しかった。やっぱり"you"なんだな。
Mの部屋に戻ると、「ちよじ、明日の朝シフォンケーキ食べたい?」とMが言う。
21:44。その時刻からMはシフォンケーキを作りはじめた。なんてかっこいいんだろうと、作る姿を見ていた。
2025.04.07_Mon.
朝にいただいた晩柑を食べる。教わったとおりにスマイルカット。季節のものをいただけるって有難い。おいしいなぁ。
K(10才)が今日から5年生。
寝癖を直して、いい匂いのする(女の匂いだけど)ヘアオイルをつけてあげて送り出す。
昼前に西荻窪へ。どんぐり舎で珈琲を飲んでいると今日が誕生日の父からLINEが届く。
「いつも誕生日祝い有り難う!いつの間にか82才にもなってしもたわ。まだ20才台くらいに思ってるのにな~。笑いやな~。」
「ずっと20代くらいの気持ちでいてね!誕生日おめでとう!」と返す。
たぶんその気持ちは冗談じゃないんだろうなぁ。
齋藤圭吾写真展''wandering"。
階段を昇ると、齋藤さんの顔が見えた。笑ってこちらを見ている。あー、久しぶりの齋藤さんだ。どうしてわたしはこの人が好きなんだろう。ストレートなのに、皆まで言う前に分かって頷いて、それ以上を聞かない。いま齋藤さんはここに立って、これを見ているのか。いつまで経っても、わたしはそんな感想だ。それでいいでしょう?
パソコンのスライドショーを見ながら、「わたしもこれ飲みたい。」と、さっき齋藤さんが飲んでいたウィスキーをねだった。齋藤さんは水割りを作ってくれた。薄いやつ。それも優しさに感じる。しばらく話して、「元気が出たから帰る。」と言って帰ってきた。
2025.04.06_Sun.
ご近所のスタイリストYさんが「熊本からとてもおいしい晩柑が届いたので。」とメールをくださった。今日は9時から道場で稽古の予定ですと伝えると、8時に道場の近くの橋の上まで届けにきてくださった。コンビニで珈琲を買って、稽古がはじまるまで公園のベンチでお喋り。7寸の皿の話が面白かった。なんて嬉しい時間だろう。
今日は道場の皆が大人もこどもも保護者も集ってお花見の日。
雨を心配して稽古もそこそこに、花見の準備に取り掛かる。
川沿いに長机とビールとおつまみを運び、こどもたちは外で木剣を振った。
館長が「お父さんかお母さんと手をつなげー。手をつないで向こうの橋までぐるっと散歩してきなさい。」と仰った。K(10才)と手をつないで、その言葉に従った。
こういう言葉を出せるところが、85才の人の(たぶん経験に)尊敬するところ。手配してもらったお弁当が届いて、皆で食べた。心配していた雨は降らなかった。いい週末。
2025.04.05_Sat.
Wがやってきた。空も晴れた。
バスケットボール片手に、バス停まで迎えに行った。K(10才)が抱きついていた。川沿いを歩いて、途中のバスケットの網のところでシュートの仕方を教わって、釣り堀のある食堂へ連れて行く。Wはカツ丼とレモンサワー。Kはカキフライ定食。Yは枝豆、おしんこ、唐揚げとビール。わたしは麻婆麺とYの瓶ビールを分けてもらう。
ザリガニが居る池や、遺跡を案内してから、家に戻る。KがWにぴったりくっついてゲームするのを見ながら、ルーロー飯を作って、春巻きを巻いた。ふたりは最近遊んでいなかったベイブレードやヨーヨーを出してきて遊びだした。Yもわたしもジェンガにはもちろん加わった。
晩ごはんを一緒に食べたあと、一日たっぷりと遊んでくれたWをタクシーに乗せようとしたら、先にKが乗り込んで「Wの家に行く。(夜の)12時には帰ってくるから。」
どうやって帰ってくるんだい。良かったねぇ、Wと知り合えて。優しくしてもらって。
私たちは温かい気持ちで今日を過ごせた。Wのおかげ。
2025.04.04_Fri.
明日はK(10才)が大好きなお兄ちゃんWが家に遊びに来る。
大学生になったWがこんな花見の季節に、こどもに会うためにやってくる。
帰り道にスーパーに寄って、Wって何飲むんだっけ。他の大学生相手ならビール買っておけばいいか、となるんだろうけど、Wの顔を頭に浮かべると、ジンジャーエールとジュースとコカコーラをカゴに入れ、自分が何才になってもソーセージが入ったパンを買ってきた母親の顔も浮かぶし、訳が分からなくなってしまった。なんか笑ってしまう。
2025.04.03_Thu.
連日K(10才)のお弁当を作って外に出る。今週はYもずっと外での仕事。春休みなのに、Kはずっとひとりでお留守番。
ナリタとヒガシの面倒をよくみてくれている。そしてきっとナリタとヒガシもKの面倒をみている。
夜、今日はKも連れてKさんの稽古。
こちらの勝手な都合だけど、昼間一緒に居なかった分、Kと1時間畳を前方回転し続けて練習に付き合う。あともう一握りの勇気で突破できるように見えるから。畳で前方回転をするとき、Kがどんなふうに怖いのか、どんなふうに痛いのか、とてもよく分かる。
Kさんも根気よく教え続けてくださった。
回り続けて1時間が経つ頃、勇気を持てたKが怖さを突破した。それを見てKさんと同時に「突破した!」と声をあげた。その瞬間の声が重なったことが嬉しかった。
帰り道、焼き鳥屋の前で信号待ちをしていたら、「頑張ったから焼き鳥買って。」と言う。「いいよ。」と買ってやった。
「好きなの選んでいいよ。」と言ったら、一番大きなクリスマスみたいなやつを選んだ。
寝る前、さすがに首の後ろが痛くて湿布を貼る。
2025.04.01_Tue.
昨夜も上手く眠れなかった。だけどいつの間にか眠っていて、いつの間にか携帯電話の充電が0%になっていた。目が覚めて充電コードを繋いで時刻を見ると、8:58。電話で打ち合わせをしましょうと約束していた時刻の2分前!
「奇跡だね。」とYが言った。何に感謝すればいいのか分からないけど、2分前に目覚めさせてくれてありがとうございます。
2分では、自分の体たらくに落ち込む暇もない。
打ち合わせをしていたら、Yがそーっと部屋に入ってきて、大きなマグカップを手渡してくれた。珈琲が入っていた。
夜、Kさんの稽古。
昇段技を順に。どうやるのか、やり方は覚えている。だけどやり方は分かっていても、出来ないことがある。
◼︎『横面打ち入り身投げ(ニ)』・・襟にある手と相手の前にある手を上手く使えない。襟を強引に引くのではない。むしろ逆で、襟にある手を、自分の逆の腕に押すようにすること。Kさんは「そこで『一ヶ条抑え』のときのような形になるんだ。」と言った。そこから自分の腕に相手を乗せ、波のように動く。
◼︎『両手持ち小手返し(一)』・・左半身のとき、抑えるときにどちらの足が前なのかに迷う。
◼︎ 『胸持ち呼吸投げ(一)』・・胸を取られる瞬間、どちらの手で相手の手を取るのかを迷う。手より胸で相手を持っていく。
◼︎『肩持ち呼吸投げ(ニ)』・・これが一番の難関。胸にある相手の手を、どうやっても、何回やっても上手く握れない。
◼︎『顔面突き肘抑え(ニ)』・・やり方はほぼ合っているはずなのに、様にならない。
◼︎あとは自由技をどうしたらいいのか。
2025.03.31_Mon.
ロッテの"Rummy"を探した日。
前に日本に来たときに食べてすごくおいしかったのに、今回は探しても見つからないと、昨日Tが話していた。どんなパッケージなのかを携帯電話で見せてもらったけど、わたしは見たことがないし、食べたこともなかった。
朝に駅のほうまで行く用事があったから、帰り道に通りがかる駄菓子屋やスーパーを覗いてみる。
4件目でようやく1箱だけ見つかった。
そのまま自転車を漕いで、道場まで行ってみた。道場の鍵は閉まっていた。「T~。」と呼んでみたけど、道場の中にTが居るかどうかは分からなかった。出掛けちゃったか。もうスウェーデンへの帰路だろうか。
ジャケットのポケットに"Rummy"を入れたまま家に帰った。珈琲をいれてYと食べた。
2025.03.30_Sun.
Tと稽古できる最後の日。
朝、道場へ。今日は円になってまた準備体操の号令をかける。館長は風邪が治って元気になっていたけど、見学されている。
合気道。Mさんと2ヶ条までのルーティンと、『一ヶ条抑え』。新しい人と組んで『正面打ち入り身投げ』から『二ヶ条抑え』までのこと。
休憩を挟んで杖道。
◼︎常の構えから本手の構え。本手打、逆手打、引き落とし打ちの素振りをした後で、Tと組んで、打ち込みをする。上段からを左右20本ずつ。本手打ち、逆手打、引き落とし打ちを30本ずつ。太刀を持つ側のとき、この間教わったように袈裟斬りをしていたら、「しっかり斬ってから構える。」とAさんが言った。何が足りなかったかな。もっと下までだったかな。
◼︎Tとわかれて、基本を習う。道場の長辺を使い、本手打、逆手打、引落打、返突、逆手突、巻落の単独動作。本手打、逆手打、引落打の相対動作。下げ杖で礼をして→常の構え→「本手に構え」の号令で太刀が間合いを調整する、杖を合わせる。→「本手打用意」の号令で太刀を下段に、太刀が動きはじめてから杖は本手に持つ→「始め」で相手のこめかみを打つ。相手がいま居るところを。→「やめ」の号令は、その瞬間にフリーズすることではない。いましている動作の最後まで終わらせてからやめる。→「もとえ」太刀は納刀だったかな?太刀が動きはじめてから杖はどうするんだっけ。常の構え?
「位置交代」は、太刀は刃を自分の方へ向けて鍔(つば)の下を相手が握る手の分をあけて持つ→太刀と杖を交換する→太刀を持っているほうが左に一歩動く→お互い前へ進む→下げ杖で回れ右→常の構え。
◼︎Kさんが太刀で、自分は杖。形をやっていってと言われる。『着き杖』『水月』『引提げ』。
『引提げ』をやる時、Aさんが見ていてくれた。畳のラインで"繰付け"を教えてくれた。
ラインの左側に立って引っ提げる→ラインの右側に右足を出して、左足もラインの右側に入る→頭の上で杖を持つ時、前の手は本手で持つ。本手で持つというのは、生命線に合わせて杖を持つこと。臂は杖の下に隠れる。臂の右側から相手を見るんだったっけ。杖が当たるのは相手の外側にある手首。
Aさんはこれからは相手に太刀ではなく、小太刀を持ってもらって練習して、と言った。
繰付けたあとは相手の水月を突く。自分の身体を先に前に動かさずに。前に出なくても相手の水月に杖が当たる。その間合いから突く。→その次に引っ提げる時は後ろに下がらない。
そしてAさんは、TとMさんに「影の引提げをやって。」と言って、制定形ではない『引提げ』を見せてくれた。
稽古後、着替えのとき、Aさんのやり方の袴の紐の畳み方を教えてもらう。
館長が花見をしようと言って、皆でビールとお菓子を持って川沿いへ運んだ。
歩きながらTに、会えて嬉しかったと伝えられた。
花を見るよりも、車座に座った人たちと話を出来ることのほうが嬉しくて、花が目に入ってこなかった。
お開きになった後、TとAさんと道場に戻って3人でビールをのんだ。
合気会と養神館の受け身の違いをやってみせて、TとAさんも畳を転がりはじめて、何度も受け身をとって3人で転がって遊んだ。遊びだけど真剣な話も混ざり合って、またビールをのんで、沢山話した。
帰り際、Aさんが「英語の文章の中ではyouを使う。名前じゃない。」と私に言った。さっき私はTに「I was happy to see T.」と伝えていた。「youってあなた、でしょ。"あなた"って言われたらすごく遠くに感じるよ。名前の方が近い。Tだけに伝えたい言葉なんだよ。」「逆だよ。youの方が近い。名前を言われると、目の前に居るのにどうして?って思う。」「to see T.じゃなくて、to see you.のほうが(Tとの距離が)近いの?」
そうだ、とAさんは言った。
「じゃあどんな時に名前を使うの?」と言う私に、AさんはTを歩かせ「Hey,T!」
ふたりがわかった?みたいな顔でこちらを見た。
「I love you.も"you"でしょ。」
「I love 名前、の方がその人だけに伝えている感じがするけどなぁ。」
Aさんは首を振って、「"you"だよ。」と言う。
今日の一番驚いたこと。
2025.03.29_Sat.
東長崎ラストデイ。
Rちゃんに読んでもらって、アドバイスをもらう。
「ありていにはまとまっていなくて、最後にまた違う展開になって川を走りはじめた。それがもちろん分からないってなる時もあるんだけど、なんかギリギリのところを攻めていっている感じがする。知らない誰かのよくある話、じゃなくて、知らないんだけど誰かが頑張っているって話を追体験させようとしている文章だなっていうのをすごく感じました。」
細かく言っていくと色々色々ある、と言って、Rちゃんはひとつずつ見ていってくれた。
文章が変化していく。
リライトの時間。
書き直したものを読んで、「涙出ちゃう終わり方、沁みる終わり方になってる。」とRちゃんの第一声。さっき最初にもらったアドバイスの時より、それを聞いて(あーぁ。)と思う。
ニュアンスを持ちたくないと思っていたけど、書き直した"川を走ること"は、Rちゃんの第一声のようなニュアンスを持った。
ありのままに書くには、どうすれば良かったのだろう。
だけど皆で文字に向かって、言葉を交わすことをしたのは面白くてしょうがなかった。
話し方も文章も独特だと皆に言われた。どうしたらいいか分からなくなった。
2025.03.28_Fri.
昨夜は夜中に何度も目が覚めて、上手く眠れなかった。朝は辛うじて雨が降っていなかったから、目を覚ましたくて、長い距離を自転車で走る。空気は重たくて、ちっとも爽やかではなかったけれど、がむしゃらに自転車を漕いだら、ちょっと頭がすっきりした。
2025.03.27_Thu.
玄関を出たところの桜が咲きはじめた。
夜、Aさんと合気道の稽古。
この間、自由技の不安を漏らしたから、今日ははじまりから終わりまで自由技のことを稽古させてくれた。
どう受けるのか。
横面打ち・・相半身のときは流す、流す時は2通りある。下がるのと入るのと。
逆半身のときは止める。
正面打ち・・相半身のときは内払い、逆半身のときは止める(外払い)。
突き・・内払いと外払い。
まずはその全ての入口の動きだけを、確認するように練習していった。
そこから何が出来るのか。
小手返し、入身投げ、四方投げ、呼吸投げ。入口で浅く入るのか、相手の脇まで深く入るのか。それによって違う技が出来る。
横面打ちから左右交互に20本ずつ、正面打ち、突き、と自由技をしていった。
ゆっくりでもいいから止まらないこと。逃げて下がらないこと。
1回目に挑戦することも、2回目も、それは過程だとAさんは言う。
2025.03.25_Tue.
夜Aさんと稽古。Tも一緒に稽古が出来たから今日は合気道ではなく杖道の稽古をした。
大切なことを沢山教わった。細かい細かい細かいこと。稽古の後で3人で、Tが餃子を分けてくれてビールを2缶飲んだから、忘れてしまいそうだけど、覚えておかないといけない。書いておかないといけない。
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◼︎常の構え・・右手に持ち、杖先が僅かに上がる。鏡で見ると、杖の丸しか見えないところ。杖の長さを相手から隠す。
◼︎本手に構えるとき・・常の構えから杖を前に出し、杖尾が自分の腰に当たりテンションをかける。左手は杖を迎えにいかない。杖が来るのを待つ。杖尾が左の腰にくる。右足が出て半身になる。
◼︎本手打・・本手に構えたところから、杖をいっぱいに持ち(杖は身体に当たっている)、杖尾にある方の親指を外す。杖尾を上に上げたとき、腰が正面に向く。前足のつま先が外へ開く。袈裟に斬る。目で止める。
◼︎逆手打ち・・手首は折らない。まっすぐに。
◼︎引き落とし打ち・・本手の構えから、杖をいっぱいにとる、杖尾にある方の親指を外す。引き落とす。上にある手は肩の位置。手のひらを立てる(親指と人差し指の間に杖を挟む)。杖尾を上に、腰が前を向く。後ろ足の踵は上がる。頑なに杖の先を持ち続けなくていい。緩めて滑らせる。前足のつま先は外に向く。袈裟に斬る。目につける。
◼︎返し突き・・大きくは覚えているけど、親指が曖昧。Aさんは何と言っていたんだっけ。
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◼︎Tと打ち込みをする。
上段に構えたところから。本手打、逆手打ち、引き落とし打ち。
太刀を持って受けるときは、相手の杖で打たれた後、袈裟の角度で戻す。その後、刃をまっすぐにして、相手の顎のあたりにつける。
左に打たれたときは、下にある手を離す。
相手が打った後の残心を待つ。
◼︎道場の長辺を使って、進みながら打ち込みをする。Tが太刀で受けてくれる。本手打、逆手打ち、引き落とし打ち。
相手が今居るところを打つ。相手が動く先を打つのではない。相手のこめかみを打つ。
引き落としのときは、身体は真横を向く。足のつま先はハの字になる。
返し突き→相手の水月まで杖を届かせる。この時Aさんは身体を前に出さないと言ったんだっけ。なんと言ったんだっけ。
◼︎『水月』・・相手の水月を突いた後、相手が動くのを待ってから杖を引き下げる。相手の太刀が下りてから、打ち込む。
打ち込んだ後の納杖は、下の手は返さずにそのまま引き、右手は腿につけ、腰が前に向く。下にある手が先に動き、その後で上の手が動く。
◼︎『斜面』・・何を言われたのか思い出せない。
稽古が終わってAさんに、杖を構えたときの、自分の身体と杖尾との間隔が分からないと言ったら、へそのあたりだと言った。へそを指差したら「そんなに下?」と笑って、肋骨と腰の間ぐらいだと言った。
『Flow』の映画のような中でも、私たちは深い話が出来る。今日は沢山笑った。